選択肢
それなりに知っている
ほとんど知らない
全く知らない
独立行政法人経済産業研究所が2008年に行ったシンポジウムの中で、株式会社日本総合研究所主任研究員の池本美香さんは次のように諸外国の保育事情について言及しています。(以下:経済産業研究所HPより一部抜粋http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/08061101.html)
日本にとって参考となる取り組みとしては、以下が挙げられます。
就学前施設をすべて教育担当官庁で所轄する動き(例:ニュージーランド、スウェーデン、英国、ノルウェー):日本にも幼保連携の「認定こども園」がありますが、文部科学省か厚生労働省かのいずれかが一括所管する方が好ましいと考えます。
保育所利用の権利の拡大:日本の場合、保育所を利用する権利は「(預ける時点で)有業」の親に限定されていますが、海外では教育の考えと連動して、親が育児休業ないし失業中でも子ども自身が保育機関にアクセスできる権利を保障する方向に視点を切り替えています。また、スウェーデンをはじめ、申し込みから3~4カ月以内に必ず保育所を用意するよう自治体に義務付けている国もあります。
幼小接続の具体的取り組み:カリキュラムの見直し、または幼保カリキュラムの統合を通じて、全生徒がスムーズに学びの段階に移行できるよう制度改革を進めている国もあります。英国では、2008年9月からすべての幼稚園・保育所に小学校と同じような共通の国家カリキュラムが適用されることになっています。デンマーク、フィンランド、スウェーデン等では、保育所・幼稚園と小学校の間に1年間の「就学準備クラス」を設ける幼小接続の試みが進行中です。
教員養成制度の統合化:日本では、幼稚園、保育所、小学校で別々の免許制度となっていますが、海外では「4歳から11歳までを教えられる免許」といった年齢による枠組みを設ける国もあります。共通の教員課程を履修した後に小学校教員専攻、学童保育専攻、保育所専攻を選択させるスウェーデンの制度も、免許制度の一元化を図る上で参考になります。
保育の民営化:諸外国でも保育の民営化が進められていますが、補助の公平性が徹底していることと、親が参加する運営方式があることが日本とは異なる特徴です。
保育料負担の軽減:英国、スウェーデン、ニュージーランドでは小学校に入る前の2年間、半日程度は無料で保育を受けられる幼児教育無償化が導入されました。フランスでは、3歳からほぼ全員が公立幼稚園を利用できます。スウェーデンのように保育料の上限が設定されている国もあります。
親支援機能の充実:ここが最も日本と違う点です。保育所では親の就労支援だけではなく、家庭教育の底上げもサポートしていくことが意識されています。
出産・育児休業制度と児童手当:以上の取り組みを支えるものとして、諸外国では、日本で特に取り組みが遅れている短時間勤務、父親休暇、看護休暇等の制度が積極的に活用されています。児童手当についても、18歳前後まで支給される諸外国と日本とでは大きな差があります。ノルウェーやフィンランドといった在宅育児手当を支給している国や、オーストリアのように有業・無業に関係なく育児休暇に当たる期間は手当を出す制度に切り替えている国もあり、公平性の観点から大変参考になると思います。
日本では「保育制度改革」というと、女性就業率の向上の議論に終始しがちですが、子どもの貧困・格差の是正、子どもの権利の向上、教育面での効果を含めたより幅広い視野が必要です。福祉や労働の議論が保育にかかわること自体は好ましいですが、責任の所在としても、まずは「教育」であるという仕切りをしてみてはいかがでしょうか。そうして、親の保育利用条件を云々することなく、すべての子どもに対して保育施設の教育サービスを提供した方が公平で余分な事務手続きも省略できます。最近では保育施設の量的拡大がいわれていますが、認可外施設に預けられる子どもの問題もあることから、最低基準の引き上げ、職員研修、待遇改善等を通じた質改善の取り組みを強化すべきです。何よりも必要なのは、乳幼児期教育へのさらなる公的投資です。欧州並みに、せめてGDPの1%程度に引き上げるのを目標にすべきです。同時に、親に対する支援を充実すべきです。健全な育児環境を実現するには、まず親の生活を整えることが大切です。その際には、ワークライフバランスも重要となります。
いかがでしたでしょうか。
国内の育児環境改善に役立つポイントが幾つも挙げられており、北欧などでは生活に密着したところに至るまで制度設計がなされていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。誰だって、自分の子どもには幸せに育ってほしいものです。国政を決める私たち一人ひとりが小さなアンテナを張り、少しずつ環境改善に貢献していくことが一番肝要なのかもしれません。
選択回答一覧 | |||||
非常に精通している | それなりに知っている | ほとんど知らない | 全く知らない | ||
全体回答 | 1人 | 43人 | 114人 | 43人 | |
性別 | 男性 | 1人 | 17人 | 49人 | 16人 |
女性 | 0人 | 26人 | 65人 | 27人 | |
年齢 | 10歳未満 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 |
10~14歳 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
15~19歳 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
20~24歳 | 0人 | 0人 | 2人 | 0人 | |
25~29歳 | 0人 | 1人 | 2人 | 1人 | |
30~34歳 | 0人 | 3人 | 19人 | 12人 | |
35~39歳 | 1人 | 17人 | 32人 | 10人 | |
40~44歳 | 0人 | 22人 | 59人 | 20人 | |
45~49歳 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
50~54歳 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
55~59歳 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
60~64歳 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
65~69歳 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
70~74歳 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
75~79歳 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
80歳以上 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
職業 | 会社員 | 1人 | 19人 | 41人 | 19人 |
会社役員 | 0人 | 0人 | 3人 | 1人 | |
自由業 | 0人 | 0人 | 1人 | 1人 | |
主婦 | 0人 | 14人 | 47人 | 19人 | |
学生 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
自営業 | 0人 | 7人 | 4人 | 1人 | |
公務員 | 0人 | 3人 | 18人 | 2人 | |
その他 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
結婚 | 既婚 | 1人 | 40人 | 110人 | 42人 |
未婚 | 0人 | 3人 | 4人 | 1人 | |
子供 | 子供あり | 1人 | 43人 | 114人 | 43人 |
子供なし | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 | |
収入 | 300万円以下 | 0人 | 11人 | 36人 | 18人 |
301~400万円 | 0人 | 9人 | 19人 | 9人 | |
401~500万円 | 0人 | 3人 | 24人 | 4人 | |
501~600万円 | 0人 | 4人 | 12人 | 4人 | |
601~700万円 | 0人 | 4人 | 6人 | 2人 | |
701~800万円 | 0人 | 6人 | 6人 | 1人 | |
801~900万円 | 0人 | 1人 | 6人 | 2人 | |
901~1000万円 | 0人 | 2人 | 3人 | 2人 | |
1000万円以上 | 1人 | 3人 | 2人 | 1人 |