日本国外の児童保育環境についてどの程度の知識をお持ちですか?

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2013年4月、安倍首相は「待機児童ゼロ」を自身の成長戦略の柱に据え、「すべての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝けるような日本をつくっていきたい」と首相官邸で国民に宣言しました。十分な育児休暇が取れず、退職を決断する女性は少なくありません。都心部の「待機児童問題」から、ママ友の間に必ず現れる「モンスターママ問題」(通称:キチママ)まで、改善点が山積みになっている日本の保育環境。では、海外の子育て事情はどうなっているのでしょうか。集計結果によれば、およそ4分の3の方が国外の保育事情に詳しくないご様子。是非これを機に、国外の子育て事情通になってみましょう!

独立行政法人経済産業研究所が2008年に行ったシンポジウムの中で、株式会社日本総合研究所主任研究員の池本美香さんは次のように諸外国の保育事情について言及しています。(以下:経済産業研究所HPより一部抜粋http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/08061101.html)

日本にとって参考となる取り組みとしては、以下が挙げられます。
就学前施設をすべて教育担当官庁で所轄する動き(例:ニュージーランド、スウェーデン、英国、ノルウェー):日本にも幼保連携の「認定こども園」がありますが、文部科学省か厚生労働省かのいずれかが一括所管する方が好ましいと考えます。

保育所利用の権利の拡大:日本の場合、保育所を利用する権利は「(預ける時点で)有業」の親に限定されていますが、海外では教育の考えと連動して、親が育児休業ないし失業中でも子ども自身が保育機関にアクセスできる権利を保障する方向に視点を切り替えています。また、スウェーデンをはじめ、申し込みから3~4カ月以内に必ず保育所を用意するよう自治体に義務付けている国もあります。

幼小接続の具体的取り組み:カリキュラムの見直し、または幼保カリキュラムの統合を通じて、全生徒がスムーズに学びの段階に移行できるよう制度改革を進めている国もあります。英国では、2008年9月からすべての幼稚園・保育所に小学校と同じような共通の国家カリキュラムが適用されることになっています。デンマーク、フィンランド、スウェーデン等では、保育所・幼稚園と小学校の間に1年間の「就学準備クラス」を設ける幼小接続の試みが進行中です。

教員養成制度の統合化:日本では、幼稚園、保育所、小学校で別々の免許制度となっていますが、海外では「4歳から11歳までを教えられる免許」といった年齢による枠組みを設ける国もあります。共通の教員課程を履修した後に小学校教員専攻、学童保育専攻、保育所専攻を選択させるスウェーデンの制度も、免許制度の一元化を図る上で参考になります。

保育の民営化:諸外国でも保育の民営化が進められていますが、補助の公平性が徹底していることと、親が参加する運営方式があることが日本とは異なる特徴です。

保育料負担の軽減:英国、スウェーデン、ニュージーランドでは小学校に入る前の2年間、半日程度は無料で保育を受けられる幼児教育無償化が導入されました。フランスでは、3歳からほぼ全員が公立幼稚園を利用できます。スウェーデンのように保育料の上限が設定されている国もあります。

親支援機能の充実:ここが最も日本と違う点です。保育所では親の就労支援だけではなく、家庭教育の底上げもサポートしていくことが意識されています。

出産・育児休業制度と児童手当:以上の取り組みを支えるものとして、諸外国では、日本で特に取り組みが遅れている短時間勤務、父親休暇、看護休暇等の制度が積極的に活用されています。児童手当についても、18歳前後まで支給される諸外国と日本とでは大きな差があります。ノルウェーやフィンランドといった在宅育児手当を支給している国や、オーストリアのように有業・無業に関係なく育児休暇に当たる期間は手当を出す制度に切り替えている国もあり、公平性の観点から大変参考になると思います。

日本では「保育制度改革」というと、女性就業率の向上の議論に終始しがちですが、子どもの貧困・格差の是正、子どもの権利の向上、教育面での効果を含めたより幅広い視野が必要です。福祉や労働の議論が保育にかかわること自体は好ましいですが、責任の所在としても、まずは「教育」であるという仕切りをしてみてはいかがでしょうか。そうして、親の保育利用条件を云々することなく、すべての子どもに対して保育施設の教育サービスを提供した方が公平で余分な事務手続きも省略できます。最近では保育施設の量的拡大がいわれていますが、認可外施設に預けられる子どもの問題もあることから、最低基準の引き上げ、職員研修、待遇改善等を通じた質改善の取り組みを強化すべきです。何よりも必要なのは、乳幼児期教育へのさらなる公的投資です。欧州並みに、せめてGDPの1%程度に引き上げるのを目標にすべきです。同時に、親に対する支援を充実すべきです。健全な育児環境を実現するには、まず親の生活を整えることが大切です。その際には、ワークライフバランスも重要となります。

いかがでしたでしょうか。

国内の育児環境改善に役立つポイントが幾つも挙げられており、北欧などでは生活に密着したところに至るまで制度設計がなされていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。誰だって、自分の子どもには幸せに育ってほしいものです。国政を決める私たち一人ひとりが小さなアンテナを張り、少しずつ環境改善に貢献していくことが一番肝要なのかもしれません。

選択回答一覧
非常に精通している それなりに知っている ほとんど知らない 全く知らない
全体回答 1人 43人 114人 43人
性別 男性 1人 17人 49人 16人
女性 0人 26人 65人 27人
年齢 10歳未満 0人 0人 0人 0人
10~14歳 0人 0人 0人 0人
15~19歳 0人 0人 0人 0人
20~24歳 0人 0人 2人 0人
25~29歳 0人 1人 2人 1人
30~34歳 0人 3人 19人 12人
35~39歳 1人 17人 32人 10人
40~44歳 0人 22人 59人 20人
45~49歳 0人 0人 0人 0人
50~54歳 0人 0人 0人 0人
55~59歳 0人 0人 0人 0人
60~64歳 0人 0人 0人 0人
65~69歳 0人 0人 0人 0人
70~74歳 0人 0人 0人 0人
75~79歳 0人 0人 0人 0人
80歳以上 0人 0人 0人 0人
職業 会社員 1人 19人 41人 19人
会社役員 0人 0人 3人 1人
自由業 0人 0人 1人 1人
主婦 0人 14人 47人 19人
学生 0人 0人 0人 0人
自営業 0人 7人 4人 1人
公務員 0人 3人 18人 2人
その他 0人 0人 0人 0人
結婚 既婚 1人 40人 110人 42人
未婚 0人 3人 4人 1人
子供 子供あり 1人 43人 114人 43人
子供なし 0人 0人 0人 0人
収入 300万円以下 0人 11人 36人 18人
301~400万円 0人 9人 19人 9人
401~500万円 0人 3人 24人 4人
501~600万円 0人 4人 12人 4人
601~700万円 0人 4人 6人 2人
701~800万円 0人 6人 6人 1人
801~900万円 0人 1人 6人 2人
901~1000万円 0人 2人 3人 2人
1000万円以上 1人 3人 2人 1人
アンケート実施期間 : 2014/05/29 ~ 2014/05/31 / 実施方法:ブークスアンケートブクポンで回答募集 / 全体の回答者数 : 201人 / 「子供あり」の方のみ抽出
「小さいお子様の子育て」に関するアンケート調査